鰤切手

旧初めての理系編入。編入から無職まであなたのお供をします。

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下町の個人経営の料理屋、異世界転生できるから好き

次の就職先が決まった。

給料の振り込みまでの日とそれまでにかかる生活費を計算してみると少しゆとりがある、ありがとう必死に節約した過去の俺。

だから少し位贅沢したい。

 

とはいえ、着る服はあるし、住む場所に文句もないし、趣味もある。マズローの欲求ピラミッドの土台は無職になってもしっかり固まっていた。

 

ただ一つ文句があるなら

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前の記事より

 

食に飽きた。芋、鯖缶、卵の繰り返し。

一時期このブログのタイトルを鰤切手から鯖切手に変えようとしていた時期もあった。

 

・・・外食したい。

 

 

お品書き

 

 

どこへ行こう

とはいえ、一人でファミレスに突っ込む勇気もないし、痛い目にあいたくない。

 

前に台風が来て日本が大変になるぞ~と言われた夜

「今日で死ぬかもしれないから初めてに挑戦しよう」

と一人で居酒屋に行った。

 

居酒屋に行き、横にいた人と話をしているうちに

「ほら~もっと頼みなよ~」

と言われ、おごってくれるもんだと酒池肉林たくさん注文した。

結果おごってもらったのも何個かあったが結構な出費額で痛い目にあった。

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24歳になって飲めるようになった日本酒

失敗は成功の元という。反省した僕は

 

・1000円だけもって

・安そうな料理屋

 

に行くことにした。

 

・・・お金が足らなかったどうしていたんだろう・・・。

 

 

お仕事は?

近所をうろつくと一目のつかない場所に店がポツンとあった。

外にメニューが置いてあったので金額を確認すると足りそう、ここに決めた!

 

「・・・こんにちは、一人ですけど大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫ですよ。」

 

不愛想な返答をされると思っていたが愛想のいい返事をくれた。僕以外に客が一人だけいた。

 

周囲を見渡すと、長い時を経て染みついた壁の汚れ、たばこのにおい、少しがたつく椅子・・・。

サイゼリアだったら間違いなくクレームが入るが、ここは違う。

これが店長にとっての「料理屋の姿」であり、それを許容できる客しかこない。本人にとっては当たり前の異世界なのである。

 

メニューをとると、少し油でべたついていた、それでいい。

鶏レバーと野菜炒め定食を頼む。

「あいよ!」

元気のいい掛け声とともに手慣れた手つきで調理を始めた。自分のところから鍋を火が包む姿が見える、これも個人ならでは。

 

すでにいたお客さんが店長と話していたので僕もお話をした。

何年ぐらいやっているのか、独立する前にどこにいたのかとか・・・。

別のお客さんも会話に入ってくれてとても会話が弾んだ・・・気がする。ふとこんなことを聞かれた。

 

「仕事は何をやられているんですか?」

 

まだその時働いていなかった。

あまり働いてないからわからないですが勤務地だったり業種だったりどの仕事にも何かしらの共通点がある。

聞いてくださった方は僕の仕事から何かしらの共通点を見つけて会話を弾ませてくれようとしてくださったのだと思う。

 

だが僕は働いていないのである、共通点がない。

僕は無理やり次の就職先で働いているように装って話をした。会話は弾んだけど心苦しかった。

 

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野菜炒めがおいしかった。

 

「鮓上Ξ繝舌�縺ィ驥手除轤偵a螳夐」�です。」

 

さっきの雑談と打って変わって何言っているか聞き取れなかったけどたぶん料理名だった。

長年やっていればなんでも最適化される、それでいい。

 

いただきます。

・・・

しばらく戦時中の食事しかしてこなかった人間としては口の中に異世界が広がっていた。

 

鶏レバーってこんな味だっけ?てか味付け濃すぎず薄すぎずばっちりじゃない?白米ってこんな白かったっけ?

久しぶりにじっくり味わった。これが食事のあるべき姿かもしれない。

 

会話が結構弾んだので先にいたお客さんが

「ほら、おごってあげるよ!お酒でも好きなの頼みな!」

 

と言ってくださった。

「ごめんなさい、今日これだけしか持っていなくて」と白旗の代わりに野口英世を振るつもりだった。

がちゃんと「おごってあげるよ!」と言ってくださった!

これまであまり話し上手ではなかったけど、会話スキルが少しついたのだとうれしかった。せっかくだったので

「おすすめとかありますか?」

と聞いた。

「クラゲとかお酒を相性いいんじゃないですか?」

 

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カラージェリーフィッシュ(実際に食べたのは別のクラゲ)

水族館でしか見たことのないクラゲをここで食べるのか・・・申し訳なさとうれしさが混じる中お酒とクラゲを注文した。

 

「あ~だからきくらげっていうのね~」

 

が感想だった自分の語彙力のなさにがっかりした。

 

結局4時間ほど話をして帰った。

未知の個人経営の料理屋巡り、新たな趣味ができたかもしれない。